株式投資メモ
第1部 投資信託を知る(保有3本と検討2本・実質コスト・分配金と再投資・約定と受渡)/第2部 リターンの現実(26年チャート・資産のパッチワーク・積立シミュレーター)/第3部 株以外の投資先(J-REIT・金・国債)/第4部 投資スタイルの研究(両学長流高配当・清原達郎)/第5部 自分のルールと制度(現金と買い出動・iDeCo・NISA)
自分用の株のメモを整理したもの(第5版)。保有中の投資信託3本(オルカン・eMAXIS Slim S&P500・eMAXIS Slim TOPIX)の費用を隠れコスト(実質コスト)まで確認し、気になっている日経平均・NASDAQ100、さらにJ-REIT・金・個人向け国債・既発国債も調査。2000年からの26年長期チャートや、9資産の年別リターン順位表(資産のパッチワーク)を含む過去リターンの詳細と、リベ大・両学長流の高配当株投資の検証、清原達郎『わが投資術』のメモ、現金と買い出動のルール、iDeCo・NISA・損益通算の要点をまとめた。第5版では、散らばっていた話題を5部構成に並べ替え(投資信託 → リターン → 株以外 → 投資スタイル → 自分のルールと制度)、積立シミュレーション(8章)を金額・年数・利回りを自分で変えられる計算機に作り替え、投信の中で配当がいつ再投資されているのかの解説(4章)を追加した。数字は2026年8月時点で確認したもの。
個人的な学習メモであり、投資勧誘・助言ではない。信託報酬・実質コスト・リターンは変わるので、売買の前に目論見書・運用報告書・公式サイトで最新値を確認すること。
信託報酬=運用会社が事前に決めている年率の手数料(販売ページに書いてある数字)。実質コスト(総経費率)=信託報酬に加えて、運用の中で実際に発生した売買委託手数料・有価証券取引税・保管費用・監査費用など(=隠れコスト)を合計した、投資家が本当に負担しているコスト。決算後の運用報告書を見て初めて分かる。
1 保有中の3ファンド詳細 ― 実質コストまで
■ ① eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)=オルカン
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 連動する指数 | MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI、配当込み・円換算)。日本を含む先進国23カ国+新興国24カ国の大型・中型株 約2,700銘柄。約6割は米国株 |
| 設定日 | 2018年10月31日(三菱UFJアセットマネジメント) |
| 信託報酬 | 年0.05775%(税込)。購入時手数料・信託財産留保額なし |
| 実質コスト | 年0.1%前後。直近確認できた運用報告書(2024年4月期)では0.131%だが、この期は信託報酬引き下げ(0.1133%→0.05775%、2023年9月)をまたいでいるため高めに出ている。内訳の隠れコストは売買委託手数料0.006%+有価証券取引税0.019%+保管・監査など0.030% |
| リターン実績 | 1年 +38.2%/3年 +24.6%(年率)/5年 +19.7%(年率) ※2026年6月時点・みんかぶ |
| メモ | 純資産数兆円規模で国内トップクラス。これ1本で全世界に時価総額比の分散。新興国や日本の比率も指数に応じて自動調整される |
■ ② eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 連動する指数 | S&P500(配当込み・円換算)。米国の主要500社。時価総額上位はアップル・マイクロソフト・エヌビディアなどの巨大ハイテク |
| 設定日 | 2018年7月3日(三菱UFJアセットマネジメント) |
| 信託報酬 | 年0.08140%(税込)。2025年1月25日に0.09372%から引き下げ。購入時手数料・信託財産留保額なし |
| 実質コスト | 年約0.089%(2025年4月期の運用報告書ベース)。隠れコストは約0.008%と極小。米国大型株は売買コスト・保管コストが安いため、隠れコストが出にくい |
| リターン実績 | 1年 +36.5%/3年 +25.1%(年率)/5年 +22.0%(年率) ※2026年6月時点・みんかぶ |
| メモ | 純資産6兆円超で国内公募投信の最大規模。オルカンとの中身の重複は大きい(オルカンの約6割が米国株で、その中心がS&P500銘柄) |
■ ③ eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 連動する指数 | TOPIX=東証株価指数(配当込み)。東証の幅広い銘柄(約1,700)を時価総額比で組み入れる日本株の代表指数。※2025年から構成銘柄の絞り込みが段階的に進行中 |
| 設定日 | 2017年2月27日(三菱UFJアセットマネジメント) |
| 信託報酬 | 年0.143%(税込)。購入時手数料・信託財産留保額なし |
| 実質コスト | 年約0.147%。国内株は為替も海外保管も不要なため隠れコストは約0.004%とほぼゼロ |
| リターン実績 | 1年 +43.0%/3年 +23.1%(年率)/5年 +18.2%(年率) ※2026年6月時点・みんかぶ |
| メモ | 日経平均と違い時価総額加重なので、特定の値がさ株の影響を受けにくく、日本市場全体を素直に映す。為替リスクがない(円建て資産)のが海外株ファンドとの大きな違い |
オルカン6割=米国株なので、「オルカン+S&P500」は米国への上乗せ、「+TOPIX」は日本への上乗せという構図。3本持つこと自体は問題ないが、自分の合計で「米国何%・日本何%」になっているかを把握しておくと配分の意図がはっきりする。
2 気になっている2本の調査(日経平均・NASDAQ100)
■ ④ 日経平均(例:eMAXIS Slim 国内株式(日経平均))
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 指数の中身 | 日経平均株価(日経225、配当込み指数に連動)。日本の代表的な225銘柄を株価平均型で算出。株価の高い銘柄(ファーストリテイリング、東京エレクトロン、ソフトバンクGなど)の影響が非常に大きい |
| 信託報酬 | 年0.143%(税込)。実質コストは約0.15%(隠れコストほぼなし) |
| リターン実績 | 1年 +75.7%/3年 +30.4%(年率)/5年 +21.6%(年率) ※2026年6月時点・みんかぶ |
| いまの状況 | 日経平均は2026年6月に72,831円の史上最高値を記録。1989年のバブル高値38,915円を回復(2024年2月、34年ぶり)した後、約2年で7万円台まで急伸した |
- TOPIXとの違い:日経平均は225銘柄・株価平均型でハイテク・値がさ株に偏る。TOPIXは全体を時価総額比で持つ。日本株の「市場平均」が欲しいならTOPIX、指数の勢い(値がさハイテク)に乗りたいなら日経平均、という整理。
- すでにTOPIXを保有しているので、日経平均を足しても分散効果はほぼない(中身が大きく重複)。追加するなら「日本株の比率を上げる」という判断とセットで。
- 直近1年+75%は歴史的な急騰の数字。この勢いを前提に買うのは高値掴みのリスクを取ること、と自覚しておく。
■ ⑤ NASDAQ100(例:ニッセイNASDAQ100インデックスファンド)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 指数の中身 | NASDAQ100(配当込み・円換算)。米ナスダック市場の時価総額上位100社(金融除く)。アップル・マイクロソフト・エヌビディア・アマゾン・メタなど米国ハイテクに集中投資する指数 |
| 信託報酬 | ニッセイ:年0.2035%(実質コスト約0.218%、2024年9月期)。eMAXIS NASDAQ100も同率0.2035%(2024年6月に引き下げ)、楽天・NASDAQ-100は0.198%。S&P500系(0.08%台)と比べると3倍近いコスト |
| リターン実績 | 1年 +48.7%/3年 +31.3%(年率) ※設定から日が浅く5年データなし。2026年6月時点・みんかぶ |
| 長期の指数実績 | ドルベースの年率平均:10年 約18%/20年 約14%/30年 約13%。S&P500を長期で上回ってきた実績がある |
- リターンの裏に激しい値動き:ITバブル崩壊(2000〜2002年)でNASDAQ100は約8割下落し、高値回復まで約15年かかった。2022年も1年で約3割下落。S&P500より一段深く沈む前提で持つ指数。
- 保有中のオルカン・S&P500との重複が大きい:NASDAQ100の主力銘柄はS&P500の上位銘柄と同じ。追加すると「米国巨大ハイテクへの集中度を上げる」ことになる。分散ではなく攻めの上乗せ。
- 買うなら比率を決めて(例:資産の1〜2割まで)、暴落時に狼狽売りしない金額に抑える。
- NISAとの相性:つみたて投資枠の対象は商品により異なるので、購入前に枠(つみたて/成長投資)を確認。
3 5本のコスト比較まとめ
信託報酬(事前に決まっている率)と実質コスト(隠れコスト込みの実際の負担)の比較。

| ファンド | 信託報酬 | 実質コスト(目安) | 100万円あたり実質年コスト |
|---|---|---|---|
| オルカン(全世界) | 0.05775% | 約0.10% | 約1,000円 |
| eMAXIS Slim S&P500 | 0.08140% | 約0.089% | 約890円 |
| eMAXIS Slim TOPIX | 0.143% | 約0.147% | 約1,470円 |
| eMAXIS Slim 日経平均 | 0.143% | 約0.15% | 約1,500円 |
| ニッセイNASDAQ100 | 0.2035% | 約0.218% | 約2,180円 |
- 実質コストは決算期ごとに変わる(純資産が増えるほど下がりやすい)。数字は直近の運用報告書ベースの目安。
- 興味深い逆転:オルカンは信託報酬こそ最安だが、新興国株の取引税・保管費用がかかるため、実質コストではS&P500に僅差で負ける。それでもどちらも年0.1%前後で、優劣を気にするレベルの差ではない。
- 国内株(TOPIX・日経平均)は隠れコストがほぼゼロ。表示の信託報酬=ほぼ実質コスト。
- NASDAQ100系はやや高いが、それでもアクティブファンド(1〜2%)に比べれば1桁安い。
4 分配金と再投資 ― 配当はいつ出て、いつ再投資されるのか
「TOPIXやS&P500に投資すると、配当・分配金はいつ、どう受け取れるのか」を整理する。結論を先に言うと、同じ指数でも"投資信託"か"ETF"かで扱いが正反対。まず自分が持っている(買おうとしている)のがどちらかを確認するのが出発点。
■ 大前提 ― 投資信託とETFで扱いが違う
確かな情報| タイプ | 分配金は出る? | 中身の配当はどうなる |
|---|---|---|
| 投資信託(eMAXIS Slim・オルカン等) | 基本出さない(分配金0円が続く) | ファンド内部で自動的に再投資され基準価額に反映 |
| ETF(1306・1655・VOO等) | 出る(年1〜4回、決まった日に現金で入金) | 受け取った配当を投資家に分配(法律で分配が義務づけ) |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)やオルカンなどの人気の投資信託は、あえて分配金を出さず、中の配当を内部で再投資している。だから「配当日」を気にする必要がない。出さない理由は、①複利で効率よく増やせる ②受け取ると課税されるが、出さなければ売るまで課税を繰り延べられるため。eMAXIS Slim S&P500の決算日は毎年4月25日だが、設定来ずっと分配金0円。「配当が入らない=損」ではなく、基準価額の上昇という形で受け取っている。
■ では、再投資は「いつ」行われているのか
確かな情報「配当は再投資される」と聞くと、決算日などにまとめて再投資する日がありそうに思えるが、実際は違う。再投資は年間を通じて、中身の企業が配当を出すたびに随時・自動的に行われている。流れは次の通り。
| 段階 | いつ | 何が起きる |
|---|---|---|
| ① 中身の企業が配当を決める | 企業ごとにバラバラ (日本企業は3月末・9月末の権利確定が多い。米国企業は四半期ごと) | ファンドは保有株数に応じた配当を受け取る権利を得る |
| ② 基準価額に反映される | 配当の権利落ち日(権利が確定した直後) | もらえる予定の配当を「未収配当金」としてファンドの資産に計上する。実はこの時点でもう基準価額に反映されている |
| ③ 現金が入金される | 権利確定から2〜3ヶ月後 (日本企業は6月・12月ごろに集中。米国企業は年間に分散) | 未収計上していた配当が実際の現金としてファンドに入る |
| ④ 株式の買い付けに回る | 入金後、日々の運用の中で随時 | 現金のまま置くと指数に置いていかれる(トラッキングエラー)ため、すみやかに株式や株価指数先物の買いに回される |
- つまり「再投資の日」というイベントは存在しない。基準価額への反映(②)は配当の権利落ち時点で自動的に済んでいて、投資家が何かする必要も、意識するタイミングもない。
- 日本株(TOPIX)は3月決算の企業が多いため、配当の現金化は6月と12月に集中する。米国株(S&P500)は四半期配当が主流で、年間を通じて少しずつ入ってくる。
- オルカン・S&P500・TOPIXの各ファンドが目標にする指数はどれも「配当込み指数」(1章)。「配当を受け取って再投資した場合」の指数に追いつくのが仕事なので、再投資は特別な行事ではなく日常業務の一部。
- 決算日(eMAXIS Slim S&P500なら毎年4月25日)は「分配金を出すかどうかを決める日」であって、再投資の日ではない。出さないと決めれば何も起きず、基準価額はそのまま。
■ ETFの分配金 ― 決算日と支払日
条件つきETFは決算日(=分配金の権利確定日)が銘柄ごとに決まっている。決算日の2営業日前(権利付最終日)までに保有していれば権利がもらえ、実際の入金は決算日からおおむね40日後。主要銘柄の例:
| 銘柄(例) | 連動指数 | 決算日 | 回数 |
|---|---|---|---|
| 1306 NF・TOPIX ETF | TOPIX(配当込み) | 毎年7月10日 | 年1回 |
| 1348 MAXIS トピックス上場投信 | TOPIX | 1月・7月の各8日 | 年2回 |
| 1655 iシェアーズ S&P500米国株ETF | S&P500 | 2月・8月の各9日 | 年2回 |
| 米国上場ETF(VOO・IVV等) | S&P500 | 3・6・9・12月(四半期) | 年4回 |
上は代表的な目安。決算日が土日・祝日にあたると翌営業日にずれ、支払日も年により前後する。正確な日付・分配金額は必ず各運用会社(野村・ブラックロック・三菱UFJ等)の公式ページや目論見書で確認すること。米国ETFの権利確定日(Ex-Dividend Date)も年ごとに数日動く。
■ 「配当・分配金が出る」=得ではない
条件つき分配金が出ると"もらえてうれしい"感覚になるが、投資の効率という点では次を押さえておく。
- 分配金が出た分だけ基準価額(株価)は下がる:資産が増えるわけではなく、一部を現金化して受け取っているだけ(元本を取り崩す"タコ足分配"になっていないかは要注意)。
- 分配金には課税される(課税口座では通常20.315%)。受け取るたびに税金が引かれ、複利の力が弱まる。一方、投資信託の内部再投資は課税を繰り延べられる。
- NISA口座なら分配金も非課税。課税口座なら「出さない投信」のほうが税効率は良いことが多い。
- 定期的な現金がほしい人(取り崩し世代)には分配ETFが便利。目的しだいで使い分ける。
5 約定と受渡 ― 注文からお金が動く日数と、使われる株価・為替
投資信託は株と違ってリアルタイムでは売買できない。「申込 → 約定(値段が決まる)→ 受渡(お金・持ち分が動く)」の3段階があり、それぞれ日付がずれる。特に海外株に投資するファンドは時差の関係で1日遅れる。
■ 商品別のスケジュール
| 商品 | 注文の締切 | 約定(値段の決定) | 受渡(現金化・残高反映) |
|---|---|---|---|
| 投資信託(国内資産型)TOPIX・日経平均 | 当日15時ごろ(証券会社により異なる) | 当日 | 約定から2〜4営業日後 |
| 投資信託(海外資産型)オルカン・S&P500・NASDAQ100 | 当日15時ごろ | 翌営業日 | 約定から2〜5営業日後(売却の現金化は合計で1週間前後みておく) |
| 国内株・国内ETF(REIT ETF・金ETF含む) | 取引時間中いつでも | リアルタイム | 約定日から2営業日後(T+2) |
| 米国株・米国ETF | 現地の取引時間(日本の夜間) | リアルタイム | 約定日から1営業日後(T+1、2024年5月から短縮) |
| 個人向け国債 | 毎月の募集期間中 | (発行日に開始) | 中途換金は発行1年後から。申込から入金まで数営業日 |
| 既発国債 | 証券会社の店頭取引(営業時間内) | 取引成立時 | 受渡日は取引ごとに提示される(経過利子の支払いあり) |
■ おさえておくポイント
- 保有3本のうちTOPIXだけ当日約定、オルカンとS&P500は翌営業日約定。同じ日に注文しても値段の決まる日が違う。
- ブラインド方式:投資信託は注文の時点では買値(基準価額)が分からない。値段が決まるのは約定日。全員が同じ条件であり、公平性のための仕組み。
- 15時を過ぎた注文は翌営業日扱いになり、約定がさらに1日後ろにずれる。
- 海外資産型の売却は日数がかかる:「15時までに売り注文 → 翌営業日に約定 → その2〜5営業日後に入金」。土日祝や海外市場の休場をはさむと、注文から現金化まで8日程度かかるケースもある。急に使うお金を投信に置かないのはこのため。
- 受渡日数はファンドごとに違うので、正確には交付目論見書の「お申込みメモ」で確認する。
■ 投信は「いつの株価・いつの為替」で約定するか
上で見た日数に加えて、"どの株価・為替が使われるか"も整理しておく。特に海外資産型は為替の反映が1営業日遅れる。
| 銘柄 | 反映される株価 | 反映される為替 | 価格が決まる時 |
|---|---|---|---|
| TOPIX(国内) | 注文当日の終値(締切〜15時台) | なし(円建て) | 注文当日の夜 |
| S&P500(米国) | 注文当日の夜の米国市場の終値 | 翌営業日 10:00頃のレート | 注文翌日の夜 |
| オルカン(全世界) | 注文当日の夜の世界市場の終値 | 翌営業日 10:00頃のレート | 注文翌日の夜 |
同じ日にTOPIXとS&P500を注文しても、TOPIXは当日の夜、S&P500は翌日の夜に値段が決まる。積立ではこの1日差はほぼ誤差だが、売って現金化するときはこの1日+上の受渡日数が効いてくる。急に使うお金を投信に置かない理由でもある。
毎月自動で買う長期積立では、約定が当日か翌日かの差はリターンにほぼ影響しない。日数の知識が効いてくるのは「売って現金にするとき」。
6 過去リターン詳細 ― 26年の長期チャート・実績・暴落の歴史
■ 26年の長期チャート(2000年〜、円ベース)

■ リーマンショック以降の資産クラス比較(全世界株≒オルカン・米国株・日本株・金・J-REIT)

いずれも価格のみ(配当・分配金を含まない)月次データ(Yahoo Finance、2026年7月まで)。配当込みにすると株は年1.5〜2%、J-REITは年4%前後が上乗せされる。全世界株はオルカンと同じ指数に連動する米国ETF(ACWI)を円換算したもの。対数目盛なので、同じ傾き=同じ上昇率。
■ 長期チャートから計算した年率リターン(価格のみ・円ベース)
| 資産 | 過去約26年(2000/9〜) | 過去10年(2016/7〜) |
|---|---|---|
| S&P500(円換算) | 年率 8.2% | 年率 18.2% |
| NASDAQ100(円換算) | 年率 10.1% | 年率 25.3% |
| 日経平均 | 年率 6.2% | 年率 15.1% |
| 金(円換算) | 年率 12.8% | 年率 17.0% |
| 全世界株 ACWI(円換算) | 年率 10.7%(2008/9〜) | 年率 15.3% |
| J-REIT(1343・価格のみ) | 年率 4.7%(2008/9〜)+分配金 | ほぼ横ばい+分配金 年4%前後 |
- チャートを見ると分かる通り、S&P500もNASDAQ100も「元の値段に戻るまで十数年」の期間があった(2000年に買った場合、円ベースで2013〜2014年ごろまで含み損)。長期チャートの右端だけ見て判断しない。
- 過去26年では金が株を上回っているのは意外な事実。ただしこれは2000年(金の安値圏)起点の数字で、起点を1980年にすると金は20年間マイナスだった。どの資産も「いつから測るか」で景色が変わる。
- 直近10年の年率15〜25%は、円安+世界的株高+AIブームが重なった歴史的に見て出来すぎの数字。
■ 保有・検討中5本の実績リターン

2026年6月時点は、日経平均が史上最高値(7.2万円台)を更新し続ける歴史的な株高局面。「1年+38〜76%」「5年年率+18〜22%」は長期平均から大きく上振れした数字で、この水準が今後も続く前提で計画を立ててはいけない。
■ 指数の長期平均(おおよその目安)
| 指数 | 長期の年率平均 | 備考 |
|---|---|---|
| S&P500(ドル・配当込み) | 超長期(1957年〜)約10%/過去10年 約10〜13% | インフレ調整後の実質では6.5〜7%程度。円ベースは近年の円安分だけ上振れ |
| 全世界株式(MSCI ACWI) | 長期 約7〜9% | 中身の6割が米国なので、S&P500よりやや低い水準で連動 |
| NASDAQ100(ドル) | 10年 約18%/20年 約14%/30年 約13% | 長期でS&P500を上回ってきたが、下落も一段深い(後述) |
| 日経平均 | 過去30年あまりは低成長→直近3年で急騰 | 1989年高値38,915円の回復に34年(2024年2月)。その後2年で7万円台へ。長期平均を語りにくい特殊な形状 |
■ 暴落の歴史 ― 下がるときはこれくらい下がる
| 出来事 | 時期 | 主な下落幅(高値→安値) | 回復までの期間 |
|---|---|---|---|
| 日本バブル崩壊 | 1990年〜 | 日経平均 -82%(38,915→7,054円) | 高値回復に34年 |
| ITバブル崩壊 | 2000〜02年 | S&P500 -49%/NASDAQ100 -80%超 | S&P500 約7年/NASDAQ100 約15年 |
| リーマンショック | 2007〜09年 | S&P500 -56%/日経平均 -61% | S&P500 約5年半 |
| コロナショック | 2020年2〜3月 | S&P500 -34%(約1ヶ月) | 約半年 |
| 金利上昇局面 | 2022年 | S&P500 -25%/NASDAQ100 -33% | 1〜2年 |
- 将来の計画に使う数字:長期平均をもとに名目5〜7%/年程度が現実的。直近5年の年率20%前後は「円安+世界的株高」が重なった例外値。
- 為替の影響:円ベースのリターン=現地通貨リターン+為替変動。円安が進めば上乗せ、円高に振れれば同じだけ削られる。オルカン・S&P500・NASDAQ100はいずれも為替リスクを含む。
- 下落は正常な出来事:過去実績では「高値から3〜5割の下落」が10〜20年に一度は起きる。起きたときに売らずに積立を続けられた人が長期平均のリターンを取れた、というのが歴史の教訓。
7 資産のパッチワーク ― どの資産がその年に勝つかは予測できない
毎年、9つの資産クラスを「その年のリターンが高かった順」に並べ替えた表。色は資産ごとに固定してあるので、同じ色(=同じ資産)が年ごとに上下に飛び回るのが分かる。「来年どれが一番になるか」は誰にも当てられない、というのを一枚で示すのが狙い。

■ この表からわかること
- 金(黄色)の極端さ:2020・2022・2024・2025年は9資産中トップなのに、2018年は最下位。「有事の金」は当たる年は大きいが、外すと最下位という、順位の振れが最も激しい資産。
- 灰色の「均等」(8資産を等分した合成)は毎年ほぼ真ん中:トップは取れないが最下位にもならない。これが分散の効果。値動きがならされ、心理的に持ち続けやすくなる。
- リート・新興国は年で激変:先進国リートは2021年トップ(+46%)→2022年ほぼ最下位(-15%)。一本足で持つと当たり外れが大きい。
- 国内債券(水色)は毎年ほぼ真ん中〜下で地味:ただし株が総崩れした2018年はプラスを維持。「増やす」より「暴落時のクッション」としての役割。
- 直近(2023〜2025年)は円安もあって株・金がそろって大きくプラス。この並びが毎年続くわけではないことは、2018・2022年の赤(マイナス)だらけの列を見れば分かる。
各資産クラスを代表するインデックス連動ETFの月次・配当込み(分配金再投資)データ(Yahoo Finance)を円換算し、暦年(1〜12月)のリターンを自分で計算したもの。使用した代表指数/ETFは、国内株式=TOPIX、先進国株式=MSCIコクサイ(TOK)、新興国株式=MSCIエマージング(EEM)、国内債券=NOMURA-BPI連動(2510)、先進国債券=海外国債(BWX)、新興国債券=EMB、国内リート=東証REIT(1343)、先進国リート=グローバルREIT(RWO)、金=金ETF(GLD)。「均等」は金を除く8資産を等分した合成。証券会社や運用会社が出す公式版とは指数・計算方法が少し異なるため、数値は概算として見ること。
8 積立シミュレーション ― 金額・年数・利回りを自分で変えて計算
毎月の積立額・期間・想定利回りを入れると、資産の増え方をその場でグラフに描く。数字を変えるとグラフと下の表がすぐに更新される。初期値は月3万円・20年・年率5%(元本合計720万円)。
- 計算方法:毎月積み立て、月ごとの複利(年率÷12を月利とする)で計算。一般的な積立シミュレーターと同じ方式。
- 利回りに入れる数字の目安は年率5〜7%(6章:長期平均をもとにした現実的な水準)。直近5年の年率20%前後を入れると夢のある数字が出るが、あれは円安+歴史的株高が重なった例外値(6章)。
- 実際は毎年一定ではなく大きく上下しながらの平均。途中に含み損の期間が数年続くこともある前提で、耐えられる金額で積み立てる。
- コスト差の複利効果:信託報酬0.1%と1.0%では、月3万円・年5%・20年の条件で最終資産に約130万円の差がつく。利回り欄を「5」と「4.1」で切り替えると、コスト0.9%差の重みが体感できる。
■ 早見表:月3万円を20年(元本720万円)の場合
| 想定年率 | 20年後の資産額 | うち運用益 |
|---|---|---|
| 3% | 約985万円 | 約265万円 |
| 5% | 約1,233万円 | 約513万円 |
| 7% | 約1,563万円 | 約843万円 |
※ 新NISA口座内なら運用益は非課税。課税口座なら利益に20.315%の税金がかかる(上のチェックボックスで比較できる)。
9 株以外の投資先 ― J-REIT・金・個人向け国債・既発国債
株式以外の主要な投資先について、仕組み・手数料・過去リターンを調べた。結論から言うと、それぞれ役割が違う:J-REIT=分配金(インカム)、金=守り・保険、国債=元本の安全な置き場。株の代わりではなく、株に足すものとして考える。
■ J-REIT(上場不動産投資信託)のETF
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 仕組み | 投資家から集めた資金でオフィスビル・商業施設・物流倉庫・住宅などを保有し、賃料収入をほぼそのまま分配金として出す商品。利益の90%超を分配すれば実質的に法人税がかからない制度のため、分配率が高い |
| 代表的なETF | NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信(1343):信託報酬 年0.1705%、純資産は同種ETFで国内最大。分配金は年4回(2・5・8・11月)。ほかに iFreeETF 東証REIT指数など、どれも信託報酬0.17%前後 |
| 分配金利回り | 年4%前後(1343の直近実績:株価約2,000〜2,200円に対し年91.8円)。投資信託(eMAXIS Slim 国内リート 約0.19%)で持つ手もあるが、分配金を受け取りたいならETFが素直 |
| 過去リターン | 価格は2008年9月→2026年で約2.3倍(年率約4.7%)。ただし直近10年の価格はほぼ横ばいで、リターンの中心は分配金。分配込みのトータルでは長期で年5〜8%程度のイメージ |
| リスク | リーマンショックで東証REIT指数は約7割下落、コロナショックでも約5割下落と、暴落時は株と同じかそれ以上に下がる。金利上昇(借入コスト増・利回り商品としての魅力低下)にも弱い。「不動産だから安定」ではない |
■ 金(ゴールド)投資
| 買い方 | 代表例 | コスト | メモ |
|---|---|---|---|
| 国内ETF | 1540 純金上場信託/447A(2025年上場) | 1540:年0.44%/447A:年0.077%(国内最安) | 1540は一定口数で金現物と交換可。売買は株と同じ。NISA成長投資枠OK |
| 投資信託 | SBI・iシェアーズ・ゴールド(サクっと純金) | 年0.1838%(投信最安級) | 100円から積立可。つみたて感覚ならこれが手軽 |
| 米国ETF | GLDM(SPDRゴールド・ミニ) | 年0.10% | 為替手数料と売買の手間が別途 |
| 現物・純金積立 | 田中貴金属・三菱マテリアル等 | 購入時1.5〜2.5%+年会費+保管の手間 | 税金が譲渡所得扱い(年50万円控除、5年超保有で課税半分)という利点あり |
- 過去リターンは意外に強い:円建ての金は2000年9月からの約26年で約23倍(年率約12.8%)、過去10年でも年率約17%。ドル金価格の上昇と円安の両方が効いた。
- ただし今は乱高下の真っ最中:2026年1月29日にドル建て史上最高値5,627ドル(国内小売3万円/g超)をつけた後、7月時点で約4,200ドルまで半年で約25%下落している。高値圏で一括買いしない。
- 金の性質:利息も配当も生まない。インフレ・通貨不安・有事に強く、株と逆に動きやすいので「保険」の位置づけ。1980年→2000年のように20年間下がり続けた時代もある。持つなら資産の5〜10%程度が定番。
■ 個人向け国債(新規発行を買う)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 種類と利率 | 変動10年:年1.80%/固定5年:年1.95%/固定3年:年1.56%(2026年7月募集分・税引前)。利子は年2回、受取時に20.315%源泉徴収 |
| 変動10年の仕組み | 半年ごとに利率が見直される。適用利率=基準金利(10年国債利回り)× 0.66。金利が上がれば利子も増えるので、金利上昇局面に強い。最低0.05%保証 |
| コスト | 購入手数料・保有コストともゼロ。1万円から1万円単位。銀行・証券会社どこで買っても同じ(証券会社の現金プレゼントキャンペーンがある分だけ得なことも) |
| 換金 | 発行から1年間は原則換金不可。1年経過後は額面で中途換金できるが、直前2回分の利子(税引後相当)が差し引かれる。それでも元本割れはしない |
| 位置づけ | 元本保証で金利がつく「現金の置き場」。銀行の普通預金・定期預金より利率が高く、国の信用。生活防衛資金や数年内に使う予定のお金の保管先として優秀 |
■ 既発国債(市場で流通している国債を買う)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 仕組み | すでに発行されて市場で流通している利付国債を、証券会社の店頭取引で買う。価格は日々変動しており、買った時点の「最終利回り」が満期まで保有すれば確定する。10年国債の利回りは現在年2.7%前後(2026年6月の基準金利2.73%) |
| 手数料 | 「手数料無料」と表示されるが、実際は売値と買値の差(スプレッド)に含まれている。見えないだけでゼロではない、と理解しておく |
| 経過利子 | 購入時に、前回利払日から受渡日までの利子相当額(経過利子)を売り手に支払う。その分は次の利払いで戻ってくるので損ではないが、購入代金が額面より多くなる |
| 価格変動 | 金利が上がると債券価格は下がる(逆も同じ)。残存期間が長いほど変動が大きい。満期まで持てば額面で償還されるが、途中売却は市場価格なので元本割れがありうる |
| 個人向け国債との違い | 個人向け=いつでも額面で換金できて元本割れなし・利率は低め。既発債=利回りは市場並み(現在2%台後半)で高めだが、途中売却の価格リスクを負う。満期まで使わない資金で、今の利回りを固定したいなら既発債(または新窓販国債)、流動性と安全を最優先なら個人向け国債 |
10年国債利回りが2.7%前後まで上昇したため、「リスクを取らないお金にも年2%近く付く」状況になっている。株が史上最高値圏にある今、生活防衛資金や待機資金を個人向け国債(変動10年)に置いておくのは合理的な選択肢。ただしインフレが利回りを上回れば実質では目減りする点は忘れない。
10 高配当株投資 ― 両学長(リベ大)流の整理と検証
参考にしているリベ大・両学長の高配当株投資のやり方を公式ブログ・関連サイトで確認し、一般的な投資理論と照らして「間違いがないか」を検証した。結論:考え方は王道で、明確な間違いは見当たらない。ただし注意点・古くなった情報がいくつかある(後述)。
■ リベ大流の大前提5つ(公式ブログで確認)
- ① 高クオリティのものを選ぶ ― 配当利回りの高さだけで選んだら絶対ダメ。収益性・安定性・安全性・成長性で総合評価。
- ② 分散・分散・とにかく分散 ― 最低30〜50銘柄、理想は70〜80銘柄。学長自身は100銘柄近く。1銘柄は全体の2%程度、1セクターは配当全体の10%程度まで。
- ③ 評価は「ポートフォリオ全体」で考える ― 個別の含み損に一喜一憂せず、全体の配当と利回りで見る。
- ④ 長期で考える ― 売却益ではなく、配当というキャッシュフローを育てる投資。
- ⑤ 配当金は使う ― 再投資して増やすより、生活を豊かにするために使うのがリベ大流の目的設定。
■ 銘柄選定の数値基準(両学長が参考として紹介する「こびと株.com」の10条件)
| 条件 | 基準 | 前回まとめた一般基準との照合 |
|---|---|---|
| 配当利回り | 3.75%以上(税引後で約3%) | 一般基準「3〜5%」の範囲内 ○ |
| 配当性向 | 30〜50%が健全 | 一般基準と一致 ○ |
| PBR | 0.5〜1.5倍 | 割安確認の補助として妥当 ○ |
| 売上高営業利益率 | 10%以上 | 「稼ぐ力」の確認。妥当 ○ |
| 自己資本比率 | 50%以上 | 一般基準(40%以上)よりやや厳しめ ○ |
| 流動比率 | 200%以上 | 短期の資金繰り確認。妥当 ○ |
| 売上高・EPS・BPS | 長期で上昇トレンド | 配当の原資の確認。一致 ○ |
| 配当政策・継続力 | 方針が明確で実績と矛盾なし、非減配 | 「増配・非減配実績」と一致 ○ |
| 現金等 | 総資産に占める割合が高く増加傾向 | 配当の持続力。妥当 ○ |
この基準は、証券会社・運用会社が示す一般的な高配当株の選定基準(利回り3〜5%、配当性向30〜50%、非減配実績、財務健全性)とほぼ一致しており、数字の設定に誤りといえる点はない。むしろ流動比率・現金推移まで見る分、一般解説より丁寧。ツールは無料のIR BANK(過去業績・配当履歴の一覧)を使うのがリベ大流。
■ 注意点・古くなっている情報(ここだけ気をつける)
- 「ネオモバ(SBIネオモバイル証券)で1株買い」は古い情報。ネオモバは2024年1月にSBI証券へ統合されてサービス終了済み。現在の1株買いはSBI証券のS株や楽天証券のかぶミニなどで無料でできる。古い動画を見るときはここを読み替える。
- 利回り3.75%は「いつでも買える基準」ではない:2026年のような株高局面では条件を満たす銘柄が激減する。基準を無理に満たそうとして利回りだけ高い罠銘柄に手を出すのが一番危ない。「買える銘柄がない時期は買わない(待つ)」も戦略のうち。
- 資産を最大化したいならインデックスが有利:配当には受け取るたびに税金がかかる(課税口座で20.315%)ため、トータルリターンの複利効率ではインデックス投資に劣りやすい。両学長自身も「資産形成の最短ルートはインデックス、高配当は今のキャッシュフローを増やす別目的」と整理している。目的の違いを理解して使い分ける。
- NISAとの関係:高配当株をNISA成長投資枠で持てば国内株の配当は非課税になる(受取方式を「株式数比例配分方式」にしておくこと)。米国高配当ETFは、NISAでも米国側の税10%は引かれる。
- 学長やブログの「おすすめ銘柄」をそのまま買わない:本人たちも明言している通り、情報が出た時点と自分が買う時点では株価も業績も違う。最終判断は自分の財務チェックで。
- 「配当金は使う」は好みの問題:再投資に回しても間違いではない。ただし再投資主体なら、税制上はインデックスで貯めて必要時に取り崩す方が効率的、という理屈は頭に入れておく。
両学長流は「利回りだけで選ばない・徹底分散・長期・罠銘柄回避」という点で王道であり、安心して参考にしてよい。直すべきはネオモバ→SBI証券S株への読み替えと、株高局面で無理に買わないという運用面の自制だけ。
11 清原達郎『わが投資術』メモ
タワー投資顧問の運用部長として長者番付(2005年)で全国1位になった清原達郎氏の著書『わが投資術 市場は誰に微笑むか』(講談社、2024年)の要点メモ。個人資産は800億円超とされる。運用の柱は「割安に放置された小型株の発掘」。
■ 中心となる指標:ネットキャッシュ比率
ネットキャッシュ = 流動資産 + 投資有価証券 × 70% − 負債(全部)
ネットキャッシュ比率 = ネットキャッシュ ÷ 時価総額
比率が1を超える=「会社が持つ換金性の高い資産だけで時価総額を上回る」=理屈の上では会社がタダで買えるほど割安、という意味になる。数字が大きいほど割安。
- 投資有価証券を70%掛けにするのは、売却時の税金や価格変動を考慮した保守的な評価のため。
- PERやPBRのような一般的な指標を鵜呑みにせず、「時価総額とキャッシュ」で直接割安さを測るのが特徴。
- この比率で機械的にスクリーニングし、そこから成長性のある会社を選び抜く。
■ 投資スタイルの要点
- 主戦場は割安小型株:小型株は証券会社のアナリストがカバーしておらず、機関投資家も買えない(売買代金が小さすぎる)。だから割安に放置されやすく、個人が有利に戦える数少ない領域。
- 割安 × 成長の組み合わせを狙う:小型株の多くはただ割安なだけだが、その中に成長株が混ざっている。それを見つけて集中投資できたときの破壊力が大きい。
- 集中投資:広く浅くではなく、調べ抜いた銘柄に厚く張るスタイル。(ただしこれはプロの手法。個人がまねる場合は許容損失の範囲で。)
■ 個人投資家への教訓(本からのメモ)
- 「株式投資に才能など存在しない。自分の失敗からどれだけ学んだかだけだ」――失敗の記録と振り返りが上達の全て。
- 投資は余裕資金で:余裕がないと値下がりに耐えられず、底値で狼狽売りする羽目になる。「持っている株が値下がりした時に売らない」ためには、生活に必要な金を市場に入れないこと。
- 個人は個別銘柄の空売りをするな:日本の個人投資家は空売りでは制度的にとても不利な立場にある。
- 市場から過小評価されている会社を探す:業界の地味なイメージなどで実力より安く放置されている会社にこそ機会がある。
インデックス積立(オルカン・S&P500・TOPIX)を土台(コア)にした上で、個別株をやるなら清原式の「ネットキャッシュ比率で割安を確認 → 成長性を調べる → 余裕資金で」が型。高配当株も個別株も、土台のインデックスを崩してまで張らない。
12 現金と買い出動 ― 自分の方針とルール
自分の投資方針とルールの覚え書き。銘柄コード・信託報酬・制度は2026年7月に一次情報で確認し、事実の誤りは修正した(後述の1306)。方針・ルールの部分は個人の判断であって唯一の正解ではない。
元は手書きの走り書きメモ。数字(銘柄コード・信託報酬・税制)は公式ページや運用会社の資料で裏を取り、間違っていた点は直してある。買い出動のルールや現金比率は自分の性格に合わせた取り決めで、人によって最適解は違う。
■ 現金を持つ意味(心の余裕)
- 現金があるほど、暴落しても回復まで待てるし、安値で追加投資できる。この2つが取れるだけで、底値での狼狽売りを避けられる。
- 逆説だが、資本が増えるほど「いつでも買える」状態になり、「今すぐ全部入れなきゃ」という焦りが消える。現金比率はリターンをやや下げるが、行動を安定させるための保険料と考える。
- 清原達郎も「投資は余裕資金で」と同じことを言っている(11章参照)。余裕がないと値下がりに耐えられず、結局いちばん高くつく売り方をしてしまう。
■ 下落時の買い出動ルール(自分ルール)
平常時は投資信託(オルカン・S&P500・TOPIX)の積立のみ。
下落時はレバナス(NASDAQ100レバレッジ)を段階的に買い増す:
・指数が30%下落したら、待機している現金の半分を投入。
・さらに50%下落したら、残りの半分を投入。
下げが深いほど厚く買う、とあらかじめ数字で決めておくのがポイント。その場の感情で判断しないための仕組み。
レバナスのような日次2倍レバレッジは長期の持ちっぱなしに向かない。①ボラティリティ・ドラッグ=上下を繰り返すだけで基準価額がじわじわ削れる。②信託報酬が高い(2倍型は年0.4〜0.8%台と、通常のインデックスの5〜10倍)。③深い下落からの回復が指数の2倍しんどい。ITバブルではNASDAQ100本体が-80%まで沈んだ(6章)。2倍型なら理論上ほぼ壊滅する場面もありうる。「暴落後の反発を短〜中期で取りにいく道具」と割り切り、金額は失っても生活に響かない範囲に限定する。
■ 一括 vs 分割 ― およそ 68% : 32%
まとまった資金を投資するとき、一括投資と分割(時間分散)のどちらが有利か。
過去データの検証(バンガード等)では、一括投資が約68%(およそ2/3)の期間で分割を上回る。理由は、市場は長期では右肩上がりで、現金で待っている間はその上昇を取り逃すから。ただし残りの約32%では分割が勝ち、とくに高値づかみ直後に急落したときの痛みは一括の方が大きい。→ 期待値なら一括、精神的な安全なら分割。自分は「余裕資金は基本一括、ただし高値警戒の局面では分割」で使い分ける。
■ 気になっているETFの整理(信託報酬は2026年7月確認)
売買の主役は投資信託だが、上場ETFも調べた。信託報酬は同じ指数でも銘柄で差がある。
| コード | 名称 | 対象 | 信託報酬 | メモ |
|---|---|---|---|---|
| 1306 | NEXT FUNDS TOPIX連動型 | 日本株(TOPIX) | 0.0968% | 純資産・出来高は国内TOPIX ETFで最大級。定番だが「最安」ではない(下の注記) |
| 1475 | iシェアーズ・コア TOPIX | 日本株(TOPIX) | 0.0495% | TOPIX ETFの信託報酬最安はこちら。1306の約半分 |
| 2559 | MAXIS全世界株式(オルカン) | 全世界株 | 0.0858% | 投信のオルカン(0.05775%)より手数料は高め。ETFで持ちたい・分配金が欲しい人向け |
| 1655 | iシェアーズ S&P500 米国株 | 米国株(S&P500) | 0.066% | 円で買えるS&P500 ETF。分配金あり |
| 2239 | 上場インデックスS&P500先物レバレッジ2倍 | 米国株・2倍レバ | 0.396% | いわゆる「S&P500レバ」。上のレバレッジ注意がそのまま当てはまる |
元メモに「1306 TOPIX最安」とあったが、TOPIX連動ETFの信託報酬の最安は1475(iシェアーズ・コア TOPIX、0.0495%)で、1306は0.0968%と約2倍。ただし1306は純資産・売買高が最大で、実質コストや売買のしやすさ(流動性)で選ばれる定番でもある。「率の安さ」で選ぶなら1475、「規模・流動性の安心」で選ぶなら1306、という整理が正確。
金利が下がる(利下げ)局面で価格が上がる、守り寄りの資産。ただし個別に持たなくても、債券部分は個人向け国債(変動10年)でおおむね足りる(9章)。為替リスクも乗る点に注意。
■ 参考にしている投資家・テーマ
13 税制・制度の要点 ― iDeCo・NISA・損益通算
メモに書きつけていた税金・制度まわりの要点を、正確な形に整理した。(投信の約定日・使われる株価と為替の話は5章にまとめた。)
■ iDeCoの出口 ―「利益」ではなく「受取総額」に課税
NISA・特定口座は値上がり益だけが課税対象。iDeCoは違い、受け取るときに拠出した元本を含めた「受取総額」が課税対象になる(一時金なら退職所得、年金なら雑所得)。ただし退職所得控除・公的年金等控除という大きな控除があるので、受け取り方しだいで手取りが大きく変わる。「入口(掛金の全額所得控除)で得した分を、出口で控除を使って極力取り戻す」制度だと理解する。
■ iDeCo受取時の健康保険料・住民税非課税世帯への影響
| 受け取り方 | 国保・後期高齢者医療の保険料 | 住民税非課税世帯 |
|---|---|---|
| 一時金(退職所得) | 原則、上がらない。保険料算定の所得から退職所得は除かれる | 原則、翌年度の判定には影響しない。通常は受取時にほかの所得と分けて課税される |
| 年金(公的年金等の雑所得) | 上がる可能性あり。公的年金等控除後の所得が算定対象になる | 外れる可能性あり。ほかの公的年金と合算した所得が非課税限度額を超えると課税世帯になる |
一般論では、退職所得控除に収まる範囲の一時金受取は、国保・後期高齢者医療の保険料や翌年度の住民税非課税判定に影響しにくい。一方、年金受取は国民年金・厚生年金等と合算され、受け取った年の翌年度の住民税、国保・後期高齢者医療・介護保険料、医療費の窓口負担区分などに影響する可能性がある。会社の健康保険に本人として加入中なら保険料は通常、給与・賞与で決まるため影響しないが、被扶養者は年金受取額が扶養認定の収入基準に影響することがある。自治体独自の給付・減免は判定基準が異なる場合があるため、実行前に市区町村へ確認する。
■ 退職所得控除は「加入年数」で積み上がる
- iDeCoの加入期間は、退職所得控除の計算では勤続年数と同じ扱い。働いていなくても、加入している年ごとに控除枠が積み上がる(20年目まで年40万円、21年目から年70万円)。
- だから「若いうちに加入して年数を稼ぐ」ほど、出口の非課税枠が大きくなる。掛金の所得控除(入口)だけでなく、年数を伸ばすこと自体に価値がある。
会社の退職金とiDeCoの一時金を近い年に受け取ると、退職所得控除の勤続年数が重複計算されて枠が目減りする。とくにiDeCoを先に一時金で受け取り、あとから会社の退職金を受け取る場合、従来は5年あければ両方の控除をフルに使えた(5年ルール)。令和7年度税制改正でこの期間が10年に延長され、2026年1月1日以降に受け取る退職金から、「iDeCoの後、10年あけないと退職金側の控除が減る」ことになった(10年ルール)。逆に退職金を先に受け取る場合は従来どおり20年(前年以前19年)で変更なし。現実に10年ずらせる人はほとんどいないため、実質的な負担増。受取時期は税理士やシミュレーションで事前に確認する。
■ 損益通算と繰越控除
- 同じ証券会社の特定口座(源泉徴収あり)内なら、株の売却損と配当・売却益はその口座の中で自動的に損益通算してくれる。複数の証券会社にまたがる分を通算したい場合は確定申告。
- 特定口座の年間損失は、確定申告すれば翌年以降3年間くり越して利益と相殺できる(繰越控除)。
- NISAはこの仕組みの外。NISA口座の損失は税務上「なかったもの」とされ、損益通算にも繰越控除にも使えない。NISAは値上がりして初めて得で、下がって売っても通算に使えない点は理解しておく。
含み益のある銘柄を特定口座で売却し、同じ資金でNISAで買い直すと、その後の値上がりを非課税にできる。ただし①売却時点の利益に20.315%課税される ②NISAの非課税枠を消費する、ので「枠が空いていて・今後も持ち続ける」前提での組み替え。逆に含み損の銘柄は特定口座のまま売れば損失を繰越に使える(NISAで持つと損失が死ぬ)。
14 投信内部の外国税と二重課税 ― オルカン・S&P500とNISA
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)や Slim 米国株式(S&P500)のような「無分配(再投資型)」の投信は、内部で受け取った配当をそのまま再投資する。その配当に外国の税金がかかるのか、NISAならどうなるのかを整理する。結論を先に言うと、外国源泉税は取られ、無分配ファンドでは取り戻せない。NISAでも同じ。
▶ 課税は2つの層に分かれる
| 層 | 中身 | 無分配ファンドでの扱い |
|---|---|---|
| ① 外国源泉税 | 投資先の国が配当に課税(米国株は日米租税条約で10%) | ファンド内部で必ず引かれる。取り戻せない |
| ② 日本の税 | 投資家の分配金・売却益に20.315% | 無分配なので分配時の課税はなし(売却益にはかかる。NISAなら非課税) |
外国源泉税を取り戻す方法は①外国税額控除(確定申告)と②分配時の二重課税調整制度(2020年開始・国内投信の分配金に自動適用)の2つがあるが、どちらも「分配金が出ること」が前提。オルカン・Slim S&P500は無分配で分配金が出ないため、どちらも使えない。外国源泉税は基準価額を静かに押し下げるコストとして、そのまま負担することになる(分配金の全体像は4章)。
▶ NISA口座ではどうなる
- NISAが非課税にするのは②日本の税(20.315%)だけ。
- ①外国源泉税(米国10%など)は、NISAでも普通に取られる。特定口座でもNISAでも、この層は同じ。
- NISAでは外国税額控除が使えない(そもそも相殺すべき日本の税がないため)。だから分配金を出すファンドであっても、NISA内では外国税は取り戻せない。
▶ 「無分配の投信」と「分配ありのETF」の違い
| タイプ | 外国源泉税 | 二重課税の取り戻し(特定口座) | NISAでの扱い |
|---|---|---|---|
| 無分配の投信(オルカン・Slim S&P500) | 内部で引かれる | × 分配がないため不可 | × 取り戻せない |
| 分配ありの国内投信・国内ETF | 分配金から引かれる | ○ 分配時に自動調整(2020年〜) | × 日本の税がなく調整不可 |
| 米国ETF(VTなど) | 分配金から10% | ○ 外国税額控除(確定申告) | × 取り戻せない |
※ つまり「投信内部の外国税を取り返したい」なら分配ありの商品が要るが、再投資の手間や課税の繰り延べ(複利)を考えると、無分配のオルカン・Slimが不利とは限らない。
▶ どのくらいの負担?
外国源泉税の目減りは「配当利回り × 外国税率」ぶん。全世界株なら年おおよそ0.1〜0.2%程度(配当部分にだけかかる)で、すでにファンドの運用成績・実質コストに織り込まれている小さなコスト。低コスト・手軽さのメリットを覆すほどではない。
15 参考にした情報源
数字の確認に使った主な情報源。買う前には必ず最新の目論見書・運用報告書・公式ページを見ること。
- 三菱UFJアセットマネジメント:eMAXIS Slim 各ファンドの公式ページ・交付目論見書・運用報告書(実質コストの内訳)
- ニッセイアセットマネジメント:ニッセイNASDAQ100インデックスファンドの公式情報・運用報告書
- みんかぶ投資信託・ウエルスアドバイザー:各ファンドのトータルリターン実績(2026年6月時点)
- 日本経済新聞 投資信託コーナー:各ファンドのコスト情報(信託報酬・実質信託報酬)
- SBI証券 投資情報メディア・東海東京証券ほか:投資信託の申込日・約定日・受渡日の解説
- myINDEX・Business Insider Japan ほか:S&P500・ACWI・NASDAQ100の長期年率リターン
- 日本経済新聞・日経CNBC:日経平均の史上最高値更新(2026年6月、72,831円)の報道
- 野村アセットマネジメント・JPX:NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信(1343)の信託報酬・分配金実績
- 財務省:個人向け国債の発行条件(2026年7月募集分)・中途換金制度、現在募集中の国債一覧
- SMBC日興証券・マネックス証券・楽天証券:既発債の取引方法・スプレッド・経過利子の解説
- 田中貴金属工業:月次金価格推移。各証券会社:金ETF・金投資信託のコスト比較(1540、447A、GLDMほか)
- Yahoo Finance:各指数・ETFの月次データ(長期チャートおよび資産パッチワークの暦年リターン計算に使用)
- GPIF「分散投資の意義」・各運用会社の資産別リターン表:資産のパッチワークという見せ方の参考
- リベラルアーツ大学(liberaluni.com):リベ大流高配当株投資の大前提5選
- こびと株.com:高配当株選定の10条件(配当利回り3.75%以上ほか)
- 清原達郎『わが投資術 市場は誰に微笑むか』(講談社、2024年)および同書の解説記事(ダイヤモンド・オンラインほか)
- JPX・野村アセットマネジメント・ブラックロック・アモーヴァ/大和アセットマネジメント:ETF(1306・1475・2559・1655・2239)の信託報酬・商品概要
- 各運用会社の分配金・決算スケジュール(4章):野村アセットマネジメント(1306=7月10日決算)、ブラックロック「東証上場シリーズ分配カレンダー」(1655=2月・8月9日)、三菱UFJアセットマネジメント(eMAXIS Slim 米国株式S&P500=4月25日決算・分配実績0円)
- バンガード「Dollar-cost averaging just means taking risk later」ほか:一括投資と時間分散の比較(一括が約2/3で優位)
- 国税庁タックスアンサー(No.1240 外国税額控除)/投資信託協会・各運用会社の解説:投資信託内部の外国所得税、分配時の二重課税調整制度(2020年1月開始)、無分配ファンド・NISA口座では外国税額控除が使えないこと(14章)
■ 株・制度で参考にした公式・専門サイト(2026年7月確認)
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト」(fsa.go.jp)… 新NISAの非課税枠・つみたて投資枠/成長投資枠の対象商品などの一次情報。
- iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)/国税庁タックスアンサー(No.1420 退職所得・No.2260 iDeCo)… iDeCoの掛金上限・受取課税・退職所得控除の計算。
- 厚生労働省「後期高齢者医療制度被保険者実態調査」 … 保険料賦課の対象所得に退職給付等を含めないことを確認。
- iDeCo公式サイト「用語集」 … 一時金は退職所得、年金は公的年金等の雑所得として扱われることを確認。
- 東証マネ部!(JPX) …「退職所得控除の5年ルールが10年ルールへ(2026年施行)」の解説。13章の根拠。
- freee「退職所得控除の見直し」 … 10年ルールの施行日・受取順による違いを確認。
- 投資信託協会(toushin.or.jp)… 信託報酬・実質コスト(総経費率)・分配金の仕組みなど投信の基礎を確認できる公式団体サイト。
本資料は個人的な学習メモであり、投資勧誘・助言ではない。数値は作成時点の確認値で、信託報酬・実質コスト・税制・決済ルールは変更されることがある。投資判断は自己責任で、最新の一次情報を確認してから行うこと。