会社員・公務員の生涯年収と手取り
学歴・就職年齢・計算期間・組織規模をそろえ、会社員と警察官を比較
この参考モデルでは、大卒の全国警察官と大企業会社員の60歳までの総額は近い。警視庁は東京都の地域手当や勤務手当があるため、全国平均より高くなる。以前の表で差が大きく見えた主因は、「警視庁・大卒」と「全国・全企業規模」や「高卒」を同じ表で直接比較していたこと。
従業員1,000人以上
60歳まで・退職金込み 約3億2,270万円手取り目安 約2億3,230万〜2億6,240万円
経験年数別給与を積み上げ
60歳まで・退職手当込み 約3億1,800万円手取り目安 約2億2,920万〜2億5,880万円
東京都の経験年数別給与を積み上げ
60歳まで・退職手当込み 約3億4,170万円手取り目安 約2億4,620万〜2億7,810万円
1 条件をそろえた比較
60歳は比較の区切りで、実際の定年ではない。国家公務員の原則定年は2025・2026年度62歳、2031年度に65歳へ段階的に引上げ。地方公務員は所属先の条例等を確認。60歳以降の給与・再任用はこの表に含まない。人事院:定年制度。
■ 大学卒 ― 22歳から60歳まで
| 区分 | 給与・賞与 | 退職給付 | 合計 | 手取り目安 |
|---|---|---|---|---|
| 全国の警察官・大学卒 | 約2億9,600万円 | 約2,200万円※ | 約3億1,800万円 | 約2億2,920万〜2億5,880万円 |
| 警視庁・大学卒 | 約3億1,830万円 | 約2,343万円※ | 約3億4,170万円 | 約2億4,620万〜2億7,810万円 |
| 大企業会社員・男性大学卒 | 3億130万円 | 2,140万円 | 3億2,270万円 | 約2億3,230万〜2億6,240万円 |
| 全企業平均・男性大学卒 | 2億6,280万円 | 1,840万円 | 2億8,120万円 | 約2億240万〜2億2,860万円 |
全国の警察官と大企業会社員の差は、退職給付込みで約470万円。警視庁は大企業会社員より約1,900万円(約6%)高い試算。「警察官だけ極端に高い」という差ではない。
■ 高校卒 ― 18歳から60歳まで
| 区分 | 給与・賞与 | 退職給付 | 合計 | 手取り目安 |
|---|---|---|---|---|
| 全国の警察官・高校卒 | 約3億1,470万円 | 約2,200万円※ | 約3億3,670万円 | 約2億4,230万〜2億7,380万円 |
| 大企業会社員・男性高校卒 | 2億5,570万円 | 1,840万円 | 2億7,410万円 | 約1億9,740万〜2億2,300万円 |
| 全企業平均・男性高校卒 | 2億1,560万円 | 1,440万円 | 2億3,000万円 | 約1億6,530万〜1億8,690万円 |
高校卒警察官の総額が大学卒警察官より大きいのは、18歳から働き始め、給与を受け取る期間が4年間長いため。警察官は採用後の昇任制度が学歴だけで決まらないため、後半の給与差も比較的小さくなる。
※この試算では警察職限定の退職手当平均を使用していない。全国は約2,200万円を仮定し、警視庁は東京都職員全職種の2023年度・定年等退職者平均2,343万円を代用。職種・勤続年数の異なる参考値。
2 警察官の生涯年収を年数別に積み上げる
警察官は、平均年齢時点の給与を38年間掛ける方法ではなく、総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」の経験年数別・学歴別平均給料月額を、就職から60歳までの各期間に割り当てて積み上げている。
■ 警視庁・大学卒の計算に使った基本給
| 経験年数 | 平均給料月額 |
|---|---|
| 1年未満 | 22万6,000円 |
| 5〜7年未満 | 25万9,100円 |
| 10〜15年未満 | 30万7,900円 |
| 15〜20年未満 | 34万9,100円 |
| 20〜25年未満 | 38万1,600円 |
| 30〜35年未満 | 41万5,200円 |
| 35年以上 | 39万500円 |
各経験年数の基本給に、調査の地域手当・時間外勤務手当・特殊勤務手当などの平均と、賞与4.65か月分という仮定を組み合わせた試算。東京都の2024年勧告は4.65→4.85か月で、この表は改定後の年収実績ではない。警視庁の22〜60歳の給与・賞与は約3億1,830万円、全国の警察官は約2億9,600万円となった。
年齢別に積み上げ直した警視庁の退職手当込み総額は約3億4,170万円。以前の約3億4,600万円との差は約430万円で、金額水準は大きく変わらない。ただし、異なる時点の平均・仮定を使った参考値。特定の採用者の昇給や退職金を予測できる精度はない。
3 なぜ以前の表は差が大きく見えたのか
- 学歴が違った:警視庁Ⅰ類・大学卒と、会社員の高校卒を横並びにしていた。
- 組織規模が違った:警視庁は大規模組織だが、会社員側は中小企業を含む全国平均だった。
- 地域が違った:警視庁には東京都の地域手当20%があり、全国の会社員平均より高くなりやすい条件。
- 計算方法が違った:会社員は年齢別賃金の積み上げ、警視庁は平均給与を38年間続ける単純計算だった。
- 勤務手当が含まれる:警察職の平均給与月額には、時間外勤務・特殊勤務・交替制勤務などに伴う手当が含まれる。
全国の警察官・大学卒と全国の大企業会社員・男性大学卒を比べると、退職給付込みで約3億1,800万円と3億2,270万円。参照した会社員のJILPT統計は全国値で東京限定ではないため、警視庁は「東京勤務の上振れ例」として分けて見るのが適切。
4 手取りは同じ方法で概算
現役中の給与・賞与 × 70〜80% + 退職給付で統一している。退職給付は長期勤続の退職所得控除により、給与より税負担が軽くなるため、ほぼ額面を加えている。
生涯手取りの公式統計はない。社会保険料、所得税、住民税は、各年の年収・扶養・年齢・加入先・各種控除で変わる。70〜80%は比較条件をそろえるための幅であり、個人の正確な税額計算ではない。
- 会社員と警察官のどちらにも同じ70〜80%を適用し、職種によって有利な手取り率を置いていない。
- 退職金・退職手当は給与と別の退職所得課税で計算されるため、給与と同じ割合を単純に引いていない。
- 消費税や生活費は手取り後に支払うため、この金額には含まない。
5 この数字の読み方
- 同じ学歴でも、会社員は業種・企業規模・役職・転職・休職で大きく変わる。
- 警察官は都道府県、昇任、配属、時間外勤務、特殊勤務、休職、退職時期で変わる。
- 2024年の賃金を将来38〜42年間に当てはめた名目額であり、物価上昇や将来の給与改定は含まない。
- 警察官の退職手当はこの試算では仮定・代用値のため、総額の細かな順位や差額を確定値として扱わない。
生涯年収の順位より、自分の現在の手取り、今後の昇給、働かない期間、退職金制度を年ごとに積み上げる方が、住宅・教育・老後資金の計画には役立つ。
6 計算の根拠にした公的情報
- JILPT「ユースフル労働統計2025 第21章 生涯賃金」:会社員の60歳までの賃金、企業規模別賃金、退職金。
- 総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」:警察職の経験年数別・学歴別給料、諸手当込み平均給与。
- 東京都「都職員の給与の状況(2024年)」:警察職の平均給料・平均給与・退職手当。
- 東京都人事委員会「令和6年職員の給与に関する報告と勧告」:期末・勤勉手当の支給月数。
- 警視庁「給与・昇任制度」:Ⅰ類・Ⅲ類の初任給と年収例。
【免責】掲載額は公表統計を組み合わせた概算で、個人の生涯年収・手取りを保証するものではない。制度・給与・料率は改正される。