会社員・公務員の生涯年収と手取り

会社員・国家公務員・警視庁を、退職給付込みの総額と手取り目安で比較

まずここだけ

比較の基準は「22歳から60歳まで働き、退職給付を受け取る」モデルです。公的統計をそのまま使える会社員と、平均給与から試算する公務員では計算方法が異なります。そのため、順位を断定する表ではなく、おおよその水準をつかむ比較として見てください。

会社員|男性・大学卒

公的統計に退職給付を加算

退職給付込み・税込み 約2億8,176万円

手取り目安 約2億300万〜2億2,900万円

国家公務員|行政職・大学卒

年齢別平均給与によるモデル試算

退職手当込み・税込み 約2億7,350万円

手取り目安 約1億9,800万〜2億2,300万円

地方公務員・公安職|警視庁

警察官Ⅰ類・大学卒の粗い試算

退職手当込み・税込み 約3億4,600万円

手取り目安 約2億4,800万〜2億8,100万円

1 ひと目で比較 ― 退職給付込みの総額

額面(約)給与・賞与と退職給付を足した、税・社会保険料を引く前の総額です。
手取り目安額面の70〜80%を残る金額として置いた概算です。公式統計ではありません。
退職給付会社員は退職一時金・年金の平均、国家公務員は退職手当、警視庁は東京都職員全体の平均を使います。
モデル退職給付なし退職給付合計数字の性質
会社員・男性大学卒2億6,280万円1,896万円2億8,176万円公的統計+平均
会社員・男性高校卒2億1,560万円1,682万円2億3,242万円公的統計+平均
会社員・女性大学卒2億990万円1,896万円2億2,886万円公的統計+平均
会社員・女性高校卒1億5,790万円1,682万円1億7,472万円公的統計+平均
国家公務員・行政職大学卒約2億5,200万円約2,149万円約2億7,350万円モデル試算
警視庁・警察官Ⅰ類大学卒約3億2,300万円約2,235万円約3億4,600万円粗い試算
比較するときの注意

会社員の生涯賃金はJILPTの推計値です。国家公務員は年齢別平均、警視庁は現在の平均給与を長期間続ける仮定で計算しています。同じ方法で計算したランキングではありません。

2 会社員 ― 統計の前提と60歳以降

労働政策研究・研修機構(JILPT)「ユースフル労働統計2025」は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」をもとに、学校卒業後すぐ就職し、60歳までフルタイム正社員を続けるモデルの生涯賃金を推計しています。退職金を含まない税込み額で、同じ会社に勤め続ける前提ではありません。具体的な金額は、冒頭の比較表にまとめています。

会社員の数字に使った前提

60歳までの賃金:2024年の年齢別平均賃金を積み上げた名目額です。物価上昇を織り込んだ将来予測ではありません。
退職給付:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」の定年退職者平均を加えています。男女計の平均で、退職一時金と退職年金の現価額を含みます。制度がない会社もあり、企業規模・勤続年数・支給形態で大きく変わります。

■ 退職金と60歳以降の就業まで含めると

60歳で退職金を受け取り、その後は平均的な引退年齢までフルタイム非正社員として働くモデルでは、次の総額です。

区分男性女性
高校卒2億7,530万円2億円
大学卒3億3,950万円2億6,720万円

この総額も税込みで、定年までの賃金+退職金+定年後賃金です。退職金額は2022年の男女計データを使うなど、構成要素の基準年が完全に同一ではありません。

3 公務員 ― 国家公務員と警視庁の内訳

公務員は「国家公務員・行政職」のモデル

公務員全体の公式な「生涯賃金」統計はありません。ここでは、人事院「令和7年国家公務員給与等実態調査」の行政職俸給表(一)・大学卒の年齢別平均給与と経験年数別平均俸給を使い、22歳から60歳まで勤めたとして試算します。地方公務員、教員、警察、消防、国家公務員総合職などにそのまま当てはまる数字ではありません。

内訳概算
22〜60歳の給与・賞与約2億5,200万円
定年退職手当(令和6年度・行政職の平均)2,149万円
退職手当込み約2億7,350万円

給与は「年齢階層別の平均給与月額×12か月」に、経験年数別の平均俸給を基礎としたボーナス4.65か月分を加えて積み上げた概算です。超過勤務手当・通勤手当などの一部、60歳以降の給与、年金払い退職給付は含めていません。定年は段階的に65歳へ引き上げ中ですが、会社員の表と条件をそろえるため60歳までで比較しています。

公務員の数字の読み方

民間の男性大学卒平均と近い水準ですが、比較している集団と推計方法が異なるため、「公務員の方が必ず多い/少ない」と断定できる表ではありません。公務員は職種・役職・地域手当・残業・休職・早期退職で大きく変わります。

■ 地方公務員・公安職の例 ― 警視庁の警察官

地方公務員の公安職は、警察官や消防吏員などに適用される給料表です。代表例として、全国最大規模の都道府県警察である警視庁の警察官(Ⅰ類・大学卒)を見ます。

公表値・試算金額
初任給(地域手当20%込み)月32万1,900円
警察職の平均給与月額(平均年齢40.5歳)月54万1,980円
22〜60歳の給与・賞与の試算約3億2,300万円
定年等退職手当(東京都職員・全職種平均)約2,235万円
退職手当込み約3億4,600万円

生涯賃金の公式値ではありません。令和7年4月時点の警察職の平均給与月額54万1,980円を12か月分、平均給料月額34万529円+地域手当20%を基礎にボーナス4.9か月分とし、38年間続いたと仮定した粗い水準感です。退職手当は警察官だけの平均ではなく、令和6年度に定年等退職した東京都職員の全職種平均です。

警察官の給与が高めに見える理由

公安職給料表に加え、東京都の地域手当20%、交替制勤務、夜間・深夜勤務、警ら・捜査・出動などの手当が平均給与月額に含まれます。一方で、実際の生涯額は巡査部長・警部補・警部などへの昇任、配属、時間外勤務、休職、退職年齢で大きく変わります。

4 金額が変わる主な理由

  • 60歳までの男性大学卒は、企業規模1,000人以上で約3億円、10〜99人で約2億1,000万円。統計上は約9,000万円の差があります。
  • 同一企業に勤め続けるモデルの60歳まで・退職金なしでは、男性大学卒2億8,970万円、女性大学卒2億3,940万円です。
  • これらは集団平均です。大企業へ入れば必ずその額になる、転職すれば必ず下がる、男女差が個人の能力差を示す、という意味ではありません。職種、勤続、管理職比率、休業・短時間勤務などの構成差を含みます。
「平均」と自分の計画を混ぜない

家計設計では生涯年収の平均より、現在の手取り、今後5〜10年の昇給見込み、働かない期間、退職金制度を会社の資料と源泉徴収票で確認する方が実用的です。

5 手取りで比較 ― 実際に残る金額の目安

ここは推計

JILPTが公表している上記の生涯賃金は税・社会保険料を引く前です。同資料に「生涯手取り」の公式値はありません。以下は手取りを税込み賃金の70〜80%と置いた単純な幅であり、確認済みの統計値ではなく概算です。

60歳まで・退職金なし税込み生涯賃金手取り概算(70〜80%)
男性・高校卒2億1,560万円約1億5,100万〜1億7,200万円
男性・大学卒2億6,280万円約1億8,400万〜2億1,000万円
女性・高校卒1億5,790万円約1億1,100万〜1億2,600万円
女性・大学卒2億990万円約1億4,700万〜1億6,800万円

■ 退職金・退職手当も含めた手取り概算

区分税込み・退職給付込み手取り概算
会社員・男性高校卒2億3,242万円約1億6,800万〜1億8,900万円
会社員・男性大学卒2億8,176万円約2億300万〜2億2,900万円
会社員・女性高校卒1億7,472万円約1億2,800万〜1億4,300万円
会社員・女性大学卒2億2,886万円約1億6,600万〜1億8,700万円
国家公務員・行政職大学卒モデル約2億7,350万円約1億9,800万〜2億2,300万円
警視庁・警察官Ⅰ類の粗い試算約3億4,600万円約2億4,800万〜2億8,100万円

現役中の給与は70〜80%を手取りとし、退職給付は長期勤続の退職所得控除により手取りが額面に近いものとして加えた概算です。年金で受け取る部分、iDeCo・企業型DCとの受取時期の重複、勤続年数によって税額は変わります。

■ なぜ1つの金額にできない?

  • 厚生年金は保険料率18.3%を労使折半し、本人負担は標準報酬に対して原則9.15%。健康保険も労使折半で、料率は都道府県や健康保険組合、年齢により異なります。
  • 2026年度の一般事業の雇用保険は労働者負担0.5%。このほか所得税・復興特別所得税と住民税がかかります。
  • 所得税は累進、社会保険には標準報酬の上限があり、扶養、配偶者、障害、住宅ローン、生命保険、iDeCoなどの控除も人ごと・年ごとに違います。
  • 退職金は給与と別の退職所得課税で計算するため、給与と同じ割合を単純に引くと誤ります。

70〜80%は、現役時の給与から社会保険料・所得税・住民税が引かれる一般的な幅を示すための便宜的な仮定です。生涯を通した正確な手取りには、各年の年収と家族状況を年ごとに計算する必要があります。消費税や生活費は「手取り」からさらに支払うため、この表には含めません。

6 自分の金額を出す4ステップ

  • ① 直近の源泉徴収票で、支払金額・社会保険料・所得税を確認する。住民税は決定通知書で別に確認。
  • ② 会社の賃金表、退職金規程、企業年金、定年・再雇用制度を確認する。
  • ③ 今後を「現状継続」「昇給」「休職・短時間」「転職」の複数ケースに分け、年収ではなく年間手取りで積み上げる。
  • ④ 金額を現在価値で比べる場合は、物価上昇率と運用利回りを別に置く。名目2億円と今の2億円は同じ購買力とは限らない。
実用的な結論

全国平均は位置確認には使えますが、生活設計を決めるには粗すぎます。「平均の生涯年収」より「自分の年間手取りが何年続くか」を中心に見ると、住宅・教育・老後資金を現実的に考えられます。

7 計算の根拠にした公的情報

【免責】手取り概算は税務計算ではありません。制度・料率は改正され、健康保険料率等は地域・加入先で異なります。個別の計算は源泉徴収票、住民税通知書、会社規程、年金・健康保険の最新資料で確認してください。

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