退職後メモ

退職・失業後にもらえるお金、必要な手続き、税金・社会保険料の負担

1 退職・失業後にもらえるお金/払うお金

■ 失業給付(基本手当)の給付日数

離職理由被保険者期間1年未満1〜5年未満5〜10年未満10〜20年未満20年以上
自己都合退職(一般)原則、受給要件を満たさない90日90日120日150日
会社都合等(特定受給資格者・45〜59歳の例)90日180日240日270日330日

※ 受給要件:自己都合は離職前2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上、会社都合は離職前1年間に6ヶ月以上。
※ 日数は年齢・雇用保険の被保険者期間・離職理由等で決まる。自己都合でも正当な理由がある場合などは要件・日数が異なるため、ハローワークの区分表で確認。

■ 退職後に関係する制度一覧

制度内容・金額ポイント
失業給付(基本手当)雇用保険加入者が対象。離職前6ヶ月の賃金から日額を計算。60歳未満は50〜80%、60〜64歳は45〜80%(年齢別の上限あり)。公務員の原則的な扱いは下の専用欄へ。自己都合は待期7日+給付制限1ヶ月(2025年から短縮)。ハローワークで求職申込が必要。
再就職手当早く再就職すると残日数の60〜70%を一括支給。残90日×日額5,900円×70%=約37万円。「もらい切るより早く決める」方が得な設計。
教育訓練給付被保険者期間などの要件を満たせば、原則離職後1年以内の受講開始も対象。受講費の20〜80%。専門実践は50%(年40万円)→資格取得・就職等で70%(年56万円)→賃金5%以上上昇等で80%(年64万円)。80%は2024年10月以降の受講開始が対象。厚労省:要件・支給期間
退職金の税優遇退職所得控除:勤続10年400万円/20年800万円/30年1,500万円/38年2,060万円まで非課税。超過分も1/2にしか課税されない。例:勤続30年・退職金2,000万円なら課税退職所得は250万円。所得税等約15.6万円+住民税25万円=合計約40.6万円(通常の申告書提出あり・控除重複調整等なし)。
健康保険の選択①任意継続(2年・全額自己負担で月約3万円〜上限あり) ②国民健康保険 ③家族の扶養に入る(保険料ゼロ)。3択を比較。国保は資格喪失等から14日以内、任意継続は退職翌日から20日以内。扶養は家族の加入先へ条件確認。
国民年金への切替厚生年金→国民年金(月17,920円・2026年度)。退職で収入がない場合は免除・納付猶予制度あり。免除期間も年金額に一部反映される。未納だけは避ける。
住民税の請求前年所得に課税されるため、無収入でも前年分(年収500万円なら約24万円)の請求が来る。退職金から一括徴収か普通徴収(自分で納付)を選ぶ。資金を残しておく。
傷病手当金の継続給付在職中から受給していれば退職後も通算1年6ヶ月まで継続可。退職日に出勤すると継続できない等、条件が厳密なので事前確認。
60〜65歳:高年齢雇用継続給付再雇用等で賃金が75%未満に低下した場合、賃金の最大10%を支給。2025年4月から縮小(15%→10%)。
65歳以上:高年齢求職者給付金基本手当の代わりに30〜50日分を一時金で支給。年金と併給できる。65歳前後どちらで辞めるかで受給額が変わる。

※ 退職後にやることの順番:①健康保険の切替(国保14日以内/任意継続は退職翌日から20日以内)→②年金の切替(14日以内)→③ハローワークで失業給付の手続き→④翌年、確定申告(年末調整を受けていないため税金が戻ることが多い)。

■ 不動産所得80万円がある場合の負担 ― 所得0円の場合との比較(単身・40歳未満、前年も同額が続いた場合のめやす)

項目所得0円の場合不動産所得80万円の場合差が生まれる理由
所得税0円0円2026年分は基礎控除104万円の範囲内となり、課税所得が残らないため。
住民税0円約2.7万円合計所得45万円の非課税ラインを超えるため課税対象になる。
国民健康保険料約2万円(7割軽減)約9.3万円(2割軽減)軽減の判定基準(43万円→74万円)を超え、軽減が7割から2割へ一段階下がるため。
国民年金保険料0円(全額免除)約5.4万円(4分の3免除)全額免除の基準67万円を超えるため4分の3免除にとどまり、本来21.5万円の1/4を負担。
合計約2万円約17.4万円不動産所得80万円のうち約22%が税・社会保険料で消える計算。
不動産所得80万円だと、なぜ負担が一気に約15万円も増えるのか

国民健康保険料も国民年金保険料も、軽減・免除の基準額をわずかでも超えると割引率が一段階まとめて下がる仕組みになっている。80万円という金額は「国保の5割軽減基準(74万円)」と「年金の全額免除基準(67万円)」の両方を超えてしまう水準にあたり、軽減が7割→2割、免除が全額→4分の3へそれぞれ大きく後退する。
結果として、不動産所得80万円(家賃収入から必要経費を引いた後の額)のうち約17.4万円(22%)が税・社会保険料に回り、手取りは約62.6万円(78%)にとどまる。所得0円のとき(合計約2万円の負担で済む)と比べると、「収入があるのに使える金額の伸びが小さい」状態になりやすい。

※ 国保料率は東京都特別区(令和8年度)モデル。医療分・支援金分・子ども子育て支援金分の合計(所得割10.58%+均等割67,073円)。自治体により料率・均等割額は異なる。
※ 国民年金の免除区分は「扶養親族等控除額」「前年に支払った社会保険料控除額等」が加味されるため、実際の基準額は本文中の金額よりやや高くなる場合がある(今回は簡略化して基準額どおりで判定)。
※ 住民税は前年の所得に課税されるため、この試算は「不動産所得80万円の状態が翌年も続く」という定常状態を前提にしている。不動産所得がある場合は、確定申告で青色申告特別控除(最大65万円、要件あり)を使えるかどうかで所得そのものが大きく変わる点にも注意。

2 公務員はどうなるのか

公務員は「退職金+民間と同額の失業給付」ではない

常勤の公務員は原則として雇用保険の対象外。退職金が少ない場合に限り、求職中の生活を補う「失業者の退職手当」の対象になり得る。長く勤めて退職金が十分ある場合、基本手当に相当する追加給付は通常0円。

区分退職後の失業給付の扱い
国家公務員(常勤)国家公務員退職手当法による失業者の退職手当。原則勤続12か月以上、退職翌日から1年以内の失業、退職金と給付相当額の比較などで判定。
地方公務員(正規職員)所属自治体・退職手当組合の条例で確認。国家公務員の計算結果をそのまま確定額にはしない。
会計年度任用職員・非常勤任用形態や退職手当制度の適用により異なる。雇用保険に加入している場合は民間と同じ基本手当の制度を確認。共済加入だけでは雇用保険の有無を判断できない。
再就職しない・働けない場合単に無職であるだけでは対象外。働く意思・能力があり、求職していることが必要。療養等で働けない場合は受給期間延長を相談。

出典:内閣人事局:失業者の退職手当支給要件・計算例地方の例:東京都の退職手当条例厚労省:雇用保険業務取扱要領(国家公務員等の適用除外)

▶ 退職前後に確認すること

  • 人事・給与担当に、退職金見込額と失業者の退職手当の対象になるかを確認。対象なら退職票の交付を受け、ハローワークで求職申込・失業認定。
  • 健康保険は共済の任意継続・国保・家族の扶養を比較。任意継続の加入期間・申請期限・掛金は加入共済に確認。
  • 年金の切替や前年分の住民税は公務員も確認。退職後1年目・2年目の負担を別途試算。

手続き:内閣人事局:退職票・失業認定・受給期間延長

■ 公式情報の確認先

【免責】本資料は2026年度(2026年8月時点)の一般的な制度概要をまとめたもの。税率・上限額・適用要件は改正されることがあり、個別の状況により取り扱いが異なる。金額例は概算。実際の申告・手続きの際は、厚生労働省・日本年金機構・自治体等の最新情報や専門家に確認が必要。

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